整備士が考えるキャンピングカーで気を付けること
キャンピングカーが静かなブームになっていて、度々X(twitter)でもトレンド入りしてます。
整備士の資格を持っている筆者もキャンピングカーに興味があって、ちょこちょこ見ているのですが、購入する前にデメリットも知っておかないと、危険があったり、後悔してしまうことがあるかもしれないので、整備士目線で考えるキャンピングカーで気を付けることについて書きます。
とにかくスピードを出さずに安全運転で
キャンピングカーは重量が重くなり、室内空間を広くするために車高も高いものが多いです。
重量が重くなる=ブレーキが効きにくくなる
重量が重くなるということは制動距離(ブレーキをかけてから停止するまでの距離)が長くなる(ブレーキが効きにくくなる)ので、普通車と同じ感覚で運転をすると事故を起こしやすくなります。
車高が高い=横転しやすくなる
車高が高くなるということは横風を受けやすくなりますし、重心が上がるので、乗用車と比べてコーナリングの際に横転しやすくなります。
そのため、風が強い時や曲がる際には、横転しないように乗用車を運転する時以上にスピードを抑えてください。
FRPで架装しているキャンピングカーは、失敗しないために購入前にデメリットも知っておくことが重要
FRPで架装しているキャンピングカーも多いですが、おそらくこういったデメリットを知らない・伝えない販売店が多いと思いますので、知っておいた方がいいと思います。
個人的にはFRPで架装したキャンピングカーは怖いので、候補から外します。
室内空間を広くしたいなら、FRPで架装していない元々室内空間が広いベース車両のものを選んだ方がいいと思います。
FRPで架装しているキャンピングカーは衝突安全性が下がりやすくなる
ベースの車両よりもワイドになっている(最前列の席よりも後ろがワイドになっている)キャンピングカーは、FRPで架装していることがほとんどです。
FRPは軽くて固い素材ですが、事故や横転で衝撃が加わると割れてしまいます。
FRPで架装したキャンピングカーの事故映像を見ると、架装した部分が割れて飛び散って、荷物が散乱しているものもありますので、FRPはそういう素材だということを予め認識しておいた方がいいと思います(固いプラスチックをイメージするとわかりやすいかと思います)
安全性が気になる方は架装していない車両を選ぶようにしましょう。
ボディの剛性が下がるので、ますます運転に気を付けて
また、ボディの大部分がFRPになるため、車両の運動性能も下がりやすくなりますので、ますます運転に気を付けた方が良いと思います。
燃費が悪くなりやすい
キャンピングカーはいろいろな装備を追加しているため、重量が重くなり、燃費が悪くなりやすいので、「キャンピングカーを普段使いに」と考えている方はその辺りも考慮した方が良いと思います。
断熱と防音は大事
ベースとなる車両は、室内空間が広い商用車のことが多く、商用車は普通車に比べて商用車はコスト削減して車両価格を安くするために、断熱や防音があまりされていません。
そのため、商用車をそのままの状態でキャンピングカーにすると、室内空間は広いのですが、夏は暑く、冬は寒いという状況になります。
また、防音もほとんどされていないため、雨が降ると雨音がうるさくなりやすく、走行音や周囲の騒音なども大きくなります。
車中で寝泊まりするからこそ、断熱と防音は良ければ良いほどいいと思います。
サブバッテリーとソーラーパネルがあると便利
「キャンプなんだから電気を使うのは邪道」という人もいると思うので、これはキャンプのスタイルにもよりますが、サブバッテリーがあるとキャンピングカーの中で電気が使えて便利です。
ソーラーパネルもあると、サブバッテリーを充電しなくて済むので、さらに利便性は上がると思います。
ただし、サブバッテリーとソーラーパネルを設置する際には、間違えた配線をすると火災の原因になるので、くれぐれも注意してください。
トイレとゴミ捨ても考えて
トイレが付いているキャンピングカーもありますが、トイレを使う=トイレの後始末もしなくてはいけないということなので、その辺りも事前に考えてトイレ付にするかどうかを選んだ方がいいです。
また、キャンプをする=ゴミが出るなので、長い期間キャンプをする時は、出たゴミを捨てることも考えて、キャンプの計画をするようにしてください。
構造変更が必要になることもある
自分でキャンピングカーに改造すると、ベース車両よりも重量が重くなったり、構造が変わってそのままでは車検に通らなくなって、構造変更が必要になることもあります。
自分でキャンピングカーに改造する時は、税金や車検期間(8ナンバーや1ナンバーは1年車検)なども考えて、計画を立ててください。
ベストな選択をして、良いキャンピングカーライフを
人間の心理で、どうしても良いことばかりに目が向きがちで、デメリットについてあまり気にしなかったり、販売店も車両を売るためにあまりデメリットについての説明をしないこともあります。
デメリットも認識した上で、ベストな選択をして、良いキャンピングカーライフを送ってください。
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